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- 藤澤清造貧困小説集 (特装版)
- 宮崎孝政全詩集[私家版]
Notochrome。黒の諧調と光の中にしづもれる能登。自然やそこに根ざす人々を、写真家は静かに見さだめ、凡庸の目には見過ごされる瞬間を逃さずとらえてきた。モノクロの世界に詩を生む写真家の目。能登の風土と時間が、一冊に、ゆたかに写しこまれている。
能登は何度足を運んでも、いつも絵になる光景に出会います。数えきれないくらい能登を周りましたが、移動の道すがら、ふと気になる光景に出会う度、飽かず写真を撮り続けてきました。被写体は四季の移ろいの中にある、ごく日常の光景。歳月とともに、そうした写真が増えていき、写真集としてまとめることになりました。
能登を写真でとどめるのに、カラーではなく、私はあえてモノクロを選びました。
モノクロは色彩がない部分を想像が補い、撮影した「今」だけでなく、時間を超えて様々なことを想起させる力があると思っています。
長い歴史によって形作られた能登の生活や自然風景、それらの普遍性を現すには、モノクロが相応しいと。タイトルは「能登」の「モノクローム」だから、両方の単語を併せてノトクローム。私の造語です。
写真集の編集作業が進んでいた最中、2024年1月1日に能登半島で大きな地震が発生しました。マグニチュード7.6。震災後の能登は、私の撮り続けてきた姿とは一変していました。一時、このまま写真集を刊行すべきか悩みましたが、最終的には震災前の写真のセレクトそのままに作業を継続。それは、震災前の在りし日の光景を記録として遺しておきたい、という思いとともに、写真のような穏やかな日常が早く戻ってきてほしいという願いを込めました。(あとがきより)