飾り罫

龜鳴屋

ちょうど二十世紀が終わる年、人生、にっちもさっちも行かなくなって、すがるように、一人こそこそ本づくりをはじめた零細自営の版元、かめなくやです。
時流におきやられ、世間から忘れられた作家でも、掬すべき作ありと思えば一冊の本に仕立て、この世にその痕跡をとどめるのが、零細版元の本領。
無名、世評、関係なし。野垂れ死にあり、消息不明あり、ただただわが趣味嗜好のフルイにのこった作家、作品を並び立てたのが龜鳴屋本。
わが趣味嗜好を越えて、他所では出しそうにないけれど、これは本にする値があると踏んだラインナップが龜鳴屋一般本。
まあ、別にどっちがどっちでもいいのですが、それにしても売れなさそうな本ばかり。どこまで行き着けるのやら、末路哀れは覚悟の前。のろい亀の歩みで、鳴き声をあげつづけていきたいと思いますので、どうかご贔屓、お引き立てのほど。